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愛を信じてる

痛みも悲しみも全てを受け入れて、 I am Happy!

ピンクとグレーが混ざった色

感想 加藤シゲアキ ピンクとグレー
まずは、映画『ピンクとグレー』公開おめでとうございます。

観てきた感想をつらつらと。あまりネタバレはないと思いますが、気になる方はご覧にならないほうがいいかもしれないです…!



見てきた。冴えない女子高校生が、祝日の真昼間に、ひとりで。初めてひとりで映画を見た。

見終わった今、この気持ちはどの言葉に託せば良いのか分からずにいる。
おもしろかった。間違いなくおもしろかった。でも、この「おもしろかった」という7文字では片付けられないとも思う。

私は2015年の夏ごろから加藤シゲアキさんを好きになり、映画『ピンクとグレー』の予告映像を見てから、「そうだ、公開前に読まなきゃ」と原作を買った。そのお陰で、私の中の<ごっち>像は完全に中島裕翔だった。見た目の話ね。
時間はない中だったけど、ハードカバーは2周読んだし、文庫版も読んだ。買えた雑誌のシゲアキさんと監督とか、シゲアキさんと裕翔くんとかの対談も読んで。ネタバレだけは絶対避けよう、そう思って公開日から見に行けるまでツイ禁して。
映画に関わった人たち以外のコメントをできるだけ排除して、見た。



これは『ピンクとグレー』でありながら、『ピンクとグレー』ではない…
映画『ピンクとグレー』には間違いなく小説の要素がたくさん入っていて(小説が原作だから当たり前といえば当たり前だが)、ピンクとグレーの世界観なんだけれど、小説と映画は別のものに思えた。なるほど、これが”延長線上にありながらも一歩先を行っている”、ということか。
行定監督や加藤さんが話していたこと、その点と点が映画を見ながら私の中で繋がっていくような、そんな感覚だった。
「あの話はそういうことだったのか」
って、何回も思うところがあった。

この映画では、キャッチコピーとして<62分後の衝撃>という言葉が使われている。ピンクだった世界ーーあれはピンクというのか、という思いはあるけれどーーそれが、グレーに変わった瞬間。あぁ、なるほど。そういうことか。これがひとつの答えか。映画を見ている間は終始鳥肌が立っていたけど、この時もまた私の身体は小刻みに震えた。

その展開は思いつかなかった。


スクリーンに映し出される映像は今まで見てきた映画のそれとは少し構造が違って、しかも様々な人物(シゲアキさんを含む)が私の頭の中で複雑に絡み合っていて、なんだかとても不思議な気持ちだった。

中島裕翔で<ごっち>像を、菅田将暉で<りばちゃん>像を、そして夏帆で<サリー>像を描いていた私にとっては大きな衝撃だった。この映画は原作とはストーリーが異なる点が多いーーというより、小説の先の世界を描いているところも特に後半は多かったから、それでも違和感なく楽しめた。


…違和感なく、というのは嘘かもしれない。原作をそこまで読み込めなかったし、シゲアキさんのお話も監督のお話も、裕翔くんや菅田くんのお話も十分に聞けたとは言えない。それでも私の中には私なりの『ピンクとグレー』があって、それは誰の『ピンクとグレー』とも一致しない。だからあの映画の全てを肯定できたわけじゃない。だけど、その私の”答え”と行定監督の”答え”との相違点すら楽しめた。映画を見ながら、私は「小説」と「映画」の共通点や違いだけではなく、「私のピンクとグレー」と「行定監督のピンクとグレー」の答え合わせをも楽しんでいたんだ、たぶん。

これって、この映画が伝えてきたことと同じだなぁって、思った。いま。
最後のごっちとりばちゃんの会話。…そういえばあの女優も言っていたな。
私は私でしかいられなくて、私は誰かになりえないし、その誰かも私や他の人にはなりえない。私がこれまで生きてきたまだまだ短い人生の中にも、それを感じる瞬間はたくさんあった。「私はあの人にはなれない」。でも、それでもいいんだって。それでいいんだって。誰かになろうとして苦しまなくていいんだ。そうは言っても、それってとっても難しいことだけどね。


最後には、ピンクとグレーが溶けあって、ああ、ひとつになった、と思った。
ピンクとグレーの2色に断絶されていたごっちとりばちゃんが、最後の抱擁によってその灰色だった景色に色付いていって。ああ、よかったな、って思った。*1



映画は小説よりも人間的だった。どちらの方が優れている、とかいう話ではなくて。IQを下げる、ってそういうことか。

生きるって、途轍もなく苦しいことなのかもしれない。「生きる」っていう超難題に、私は向き合っていけるのかな…。ちょっとだけ、不安にもなった。




映画『ピンクとグレー』、観れてよかった。なんだか私もホッとした。心を引かれる映画だった。
できたらもう一度、観たいと思った。ってか絶対シゲアキさんカメオ来るって思ってたのに気付かずに2時間終わって、「あれ?」ってなったのほんとに自分意味わかんないし悲しいからもっかい観ます!!!()
小説もまた読もう。


最後にひとつだけ。
「りばちゃん」って、 り にアクセントがつくの?ずっと平板型で読んでいたのでそこだけびっくりした。これも私と監督の世界の相違点のひとつなのかな(笑)


映画『ピンクとグレー』も、小説『ピンクとグレー』も大好き。
そしてこの物語を作ってくれた加藤シゲアキが大好き!!!

素敵な時間をありがとうございました。
『ピンクとグレー』という作品がさらに広まって、多くの人に愛されてほしいと切に願っています。

*1:「ちゃんと決別できてよかった」の意。断絶されていたことによってごっちになろうとして苦しんでいたりばちゃんが、あの抱擁でその意識から解放され、景色が色付くことで決別できたのかな、と。